第十回 売り上げから利益に

 前回、飲食業の時短対応について触れたが、販路について言及しなかったので、追記しておく。

 考えられる販路として、店舗及びネット販売が一般的であるが、テレワークの推奨による出勤抑制で店舗での販売は望めない。いっそのこと巣籠に近いスーパーを利用してはどうだろうか。総菜コーナー又は弁当コーナーに置いても面白い。スーパーにとっても集客の目玉(になるかはわからないが)とすることも一案であろう。スーパーへの営業活動が難しければ、ワゴン販売もあり得る。団地での集客はかなり見込めるとのことである。その場合、店舗は休業で、9割調理サービスオンリーになるが、業態変更で専念するのも選択肢である。

 

 本論に戻ろう。企業を評価する指標として売上高が使われるが、落とし穴があり、売上高向上で利益減少、最悪は赤字転落と言うのもある。企業は儲けてナンボの世界である。いかに利益を上げて存続を図るかが重要な命題となる。ただし、正確な利益計算を求めるものではない。取り組むべき優先順を決定するための判断基準とすればよい。重要なのは、場当たり的な対応での時間の浪費であろう。

 

 ここで、次の指標の算出を求めたい。

  • 製品毎粗利額=製品毎売上高-製品毎外部支払費用(部資材費+外注費)
  • 製品単位粗利額=製品毎粗利額/出荷額(月単位又は年単位)

 製品単位粗利額は、貢献粗利額となりこの総額が企業の総粗利額となる。製品単位粗利額は、最も効果的に粗利を稼ぐかを示す。これは、以前提示した比較優位の考え方に相当する。製品単位粗利額の高い製品は、利益を生み出す効率が高い製品群で、比較優位にある。この指標が低い製品は比較劣位にあることになる。

 この両者の順位が一致していれば問題ないが、そうはならないことが多いようである。以下の算出を確認してもらいたい。

  製品A:製品単位粗利額10、出荷量100

  製品B:製品単位粗利額15、出荷量10

  粗利額=製品A粗利額+製品B粗利額

     =10×100+15×10

     =1150

 ここで製品Aと製品Bの出荷量を逆にしてみる

  製品A:製品単位粗利額10、出荷量10

  製品B:製品単位粗利額15、出荷量100

  粗利額=製品A粗利額+製品B粗利額

     =10×10+15×100

     =1600

 製品の出荷量を変えるだけで粗利額が39%の向上することになる。単なる数字の遊びと考えてはならない。比較優位の製品群の比重を高めることでこれだけの効果が見込まれる。この考え方は、営業活動における優先順を示している。売上高を向上させるため比較劣位の製品群に営業活動を集中させ経営資源を無駄遣いしていることになる。また、営業資源に限らず、比較優位の製品群は、内部資源の活用比率が高く、経営資源の有効活用に繋がっている。

 

 次回は比較優位について考えたい。