第九回 仕切り直し

諸般の事情で最後の投稿から5カ月以上が経過している。

一度、仕切り直したい。

2度目の「緊急事態宣言」も発令され、経済状況は混沌の中にある。先が見えない状況下で闇雲にあがいても効少なく、害有となりかねない。下手に動いては、かえって傷口を広げかねない。とは言え、座して更なる悪化を傍観することもできない。製造業で考えてきたので、その流れを継承したいが、その前に思考トレーニングを行ってみよう。

「緊急事態宣言」では飲食業がターゲットとなり、甚大な影響がでている。活路として時間帯のシフト(昼夜から朝昼)、販売シフト(店舗提供からテイクアウト)などに取り組んでいる。ここで、別の視点での対応を考えてみる。プロセスシフトである。調理のプロセスは、「食材調達・仕込み・調理・盛り付け・提供」になるが、昨今の長期化した巣籠で食事の準備等で疲弊している人も多い。家庭の味も捨てがたいが、プロの味も忘れ難い。このプロの味を店舗で味わうから三密が騒がれ、制約となってしまう。店舗の雰囲気も重要であるが、ここは味に絞って対応を考えみよう。

調理プロセスの前工程である「食材調達・仕込み・調理」までは、三密とは無関係である。であれば、プロの料理人がこの前工程を担当し、提供すれば巣籠状態でもプロの味が堪能でき、家庭での調理の負担も軽減できる。9割調理サービスである。

この9割調理サービスであるが、最終的な加熱調理のみを残すことになる。やはり、温かい食事を取りたいものである。電子レンジもあるが、硬化することも考えられる。この加熱調理については、YouTubeで公開すれば分かり易く失敗も避けられる。プロの調理の最後に関与する楽しみもあっても良いのではないかと思う。

完成形であれば、通常のテイクアウトとなる。また、家庭に訪問するケータリングサービスもあるが、他の選択として追加しても良いと思う。通常、飲食業は午前中に仕込み、昼又は夜に提供となるが、9割調理サービスは家庭での加熱調理が残るため、午後の販売が中心となることが予想され、空き時間の有効活用となり時短営業の穴埋めが期待できる。衛生上の対策として真空パックとするのであれば、設備投資が必要になるが機器の選定については十分な検討が望まれる。

製造業でもそうであるが、プロセスを分解して最適化を考えることも重要である。緊急事態宣言下において様々な制約条件がある中で過去の常識にとらわれずに柔軟に取り組むことが重要である。

次回は、製造業に立ち戻って、大ぼら事業計画を考えてみたい。