第十八回 スキル難易度(静的スキル評価)
新入社員は、簡単な仕事から徐々に難しい仕事を習得していきます。スキルについても、スキル個々の難易度もあれば同一スキルでであってもレベルに応じた難易度もあります。この難易度の評価は難しく、人によって判断が分かれるため絶対的な評価が困難になります。なぜなら人によって難易度が異なるからです。この点が技術・技能の承継を困難にしている大きな要因です。
従って、スキル難易度は、スキルを継承できるレベルの相対評価とします。
1.知識難易度
高等学校教育を省いて、義務教育修了者にいきなり大学教育レベルを実施しても意味のないことは明らかです。しかし、技術・技能承継の現場では、このあり得ないことが実践されたことも事実です。伝承者(師匠)の技術・技能を継承者(弟子:若年者)が理解できずオーバーフローした事例が多く見受けられました。若年者(継承者)のレベルも考慮せずに机上での単純な発想では、失敗は必然でしょう。
知識難易度を継承者のレベルで評価してみます。
知識難易度評価指標
評価レベル |
不要 |
基礎 |
特定条件 |
一定条件 |
高度 |
評価点 |
0 |
1 |
2 |
3 |
4 |
評価基準 |
組織として知識を必要としない |
組織内の要員であれば習得可能な知識 |
当該知識に関連する製品又は業務を3年~10年程度経験した要員が理解可能な知識 |
経験年数だけでなく、ある程度の専門知識を有しないと理解できない知識 |
経験年数だけでなく、高度な専門知識を有しないと理解できない知識 |
注記1:経験年数は、理解度と必ずしも一致しませんが目安とします。
注記2:同一スキルであっても、内容によって難易度が異なる場合、個別のスキルとして認識します。(以下同様)
2.技能難易度
技能は、学校教育とは異なり経験が主体の職人技で、暗黙知に近く最も承継の困難なスキルです。従って、技能難易度は、経験を重視した評価指標になります。
技能難易度評価指標
評価レベル |
不要 |
基礎 |
特定条件 |
一定条件 |
高度 |
評価点 |
0 |
1 |
2 |
3 |
4 |
評価基準 |
組織として技能を必要としない |
組織内の要員であれば習得可能な技能 |
前提:当該技能に関連する製品又は業務を3年~10年程度経験した要員が継承可能な技能 条件:習得に5年~10年程度の経験が必要 |
前提:当該技能に関連する製品(群)又は複数の業務を10年以上経験した要員が継承可能な技能 条件:習得に10年以上の経験が必要 |
経験年数だけでなく、一定の社内技能検定に合格するレベルの技能 |
注記:経験年数は、一定レベルまで習熟曲線と一致しますが、高度な暗黙知については技能検定による判断とせざるを得ません。
2023年05月28日