第十七回 スキル重要度(静的スキル評価)
まず、静的スキル評価から考えていきます。
静的スキル評価は、変化を考えないスキルコンテンツそのものの評価になります。
まず、スキル重要度から考えていきます。
定義された全てのスキルを同率に扱うことは、得策ではありません。
事業内容に応じてスキルの重要度は異なってきます。
満遍なく習得することは、現実的ではありません。重要度によりスキル習得の優先順位又は対象者を明確にすることも必要です。
重要度の評価要素として、共有スキル、専門スキル、必要度、貢献度、事業整合性などが考えられます。しかし、曖昧な指標では評価も曖昧になり役に立たないことも考えられます。
ここでは、重要度をスキル適用範囲で捉えたいと思います。
1.組織適用範囲(組織重要度)
組織に求められるスキルとして、特定な組織のみに必要な専門スキル、必要な共有スキル(例えば情報機器の操作等)があります。
組織適用範囲評価指標
評価レベル |
不要 |
特定職務 |
特定職掌 |
複数職掌 |
全社 |
評価点 |
0 |
1 |
2 |
3 |
4 |
評価基準 |
スキルを必要とする組織が存在しない |
限られた業務、部署に適用される専門的なスキル |
限られた職掌(技術職、製造職等)に適用されるスキル |
複数の職掌に適用されるスキル |
全社共通に適用される共有的なスキル |
2.プロセス適用範囲(プロセス重要度)
スキルをプロセスの視点で捉えた指標です。製造業のスマイルカーブの区分に従っています。
- 上流プロセス(企画・設計・開発)
付加価値の高いプロセスと言われ、このスキルが不十分であれは事業が成り立たないことを考えれば、必要条件と捉えられます。
- 下流プロセス(製造)
付加価値が低いとされ、反論もありますが、このスキル弱体化が昨今の製造業の品質問題の一因と言われています。机上での企画・設計・開発を実現(貢献)するスキルで、十分条件とも言えます。
- 出荷後プロセス(保守)
消費財と生産財によって大きく変わってきますが、SDGsが標榜される昨今、廃棄物削減の視点で重要度は増しています。また、顧客満足による持続可能な事業展開を考えれば疎かにすることはできません。
プロセス適用範囲評価指標
評価レベル |
不要 |
不定期 |
一部関与 |
部分関与 |
必要 |
評価点 |
0 |
1 |
2 |
3 |
4 |
評価基準 |
スキルを必要とするプロセスが存在しない |
プロセスに関与することがある(不定期)スキル |
プロセスの一部に関与するスキル(業務遂行の33%程度以下の関与度) |
プロセスに部分的に関与するスキル(業務遂行の33%~66%程度の関与度) |
プロセスに重要な影響を与えるスキル(業務遂行の66%程度以上の関与度) |
注記:関与度は、概ね1/3未満、1/3以上2/3未満、2/3以上で熟練者の判断に委ねて評価することになります。(以下同様)
3.事業適用範囲(事業重要度)
事業重要度は、事業毎のスキル関与度で判断します。
事業適用範囲評価指標
評価レベル |
不要 |
不定期 |
一部関与 |
部分関与 |
必要 |
評価点 |
0 |
1 |
2 |
3 |
4 |
評価基準 |
スキルを必要とする事業が存在しない |
事業に関与することがある(不定期)スキル |
事業の一部に関与するスキル(事業遂行・売上の33%程度以下の関与度) |
事業に部分的に関与するスキル(事業遂行・売上の33%~66%程度の関与度) |
プロセスに重要な影響を与えるスキル(事業遂行・売上の66%程度以上の関与度) |
4.製品適用範囲(製品重要度)
製品重要度は、製品(群)毎のスキル関与度で判断します。
製品適用範囲評価指標
評価レベル |
不要 |
不定期 |
一部関与 |
部分関与 |
必要 |
評価点 |
0 |
1 |
2 |
3 |
4 |
評価基準 |
スキルを必要とする製品(群)が存在しない |
製品(群)に関与することがある(不定期)スキル |
製品(群)の一部に関与するスキル(製品(群)実現の33%程度以下の関与度) |
製品(群)に部分的に関与するスキル(製品(群)実現の33%~66%程度の関与度) |
製品(群)に重要な影響を与えるスキル(製品(群)実現の66%程度以上の関与度) |
次回は、スキル難度について考えていきます。
2023年05月14日