第八回 自社の強み

第八回 自社の強み

工場シェアにおいてどのような製品を受託するかは、多くの場合、マッチングサービスを活用することになります。発注企業の発注条件と社内シーズが一致すると受注となります。一致も完全一致ではなく幅を持たせることが多いようです。このマッチングであるが、受注確保の観点では必要条件ですが、十分条件とは言い難いと言えます。

ここで、工場シェアの前に一度自社の強みを再確認してみます。通常、製造業では、強みを考える時、技術力や価格を挙げることが多いようです。以前にも触れましたがが、ここでは付加価値で考えてみます。手順として、現在の製品群の付加価値を算出します。会計上の付加価値となると、減価償却費、消耗品等の配賦など煩雑になるので、簡易付加価値を定義します。経営判断のための指標であり、正確性を求める必要はありません。

製品単位簡易付加価値額=製品売上高―製品単位材料費総額―製品単位外注費総額

製品1個当たり簡易付加価値額=製品単位簡易付加価値額/納品数

 

通常、付加価値総額の高い製品群に目が向きがちですが、成果の有効性を考えると以下の優先順位となります。

第一優先:製品1個当たり簡易付加価値額の高い製品

第二優先:製品単位簡易付加価値額の総額の高い製品

 

第一優先の製品が、第二優先の製品と一致すれば、簡単ですが現実はそうならない場合が多いようです。しかし、第一優先の製品は市場規模が小さく、需要が少ない場合もあり、総合的な判断も求められます。また、付加価値が高いことは値下げ幅に余裕があり、コストダウン要求の対象になりやすくなり、藪蛇ともなりかねないため、闇雲に活動することは避けたいものです。

 

①簡易付加価値額の算出

全製品を算出する必要はありません。売上高上位50%程度でも構いません。

 

②第一優先製品の受注拡大のための強みを設定

付加価値の高い製品の特長は何か?個別に考える必要があります。一般的に付加価値の高い製品は当然製品単価も高い。高くても必要であれば顧客は発注します。その必要性が製品価値となります。製造高難易度、高品質、短納期、安定供給など対応企業が限定される条件が課せられます。顧客が何を重視するのか見極め、どの視点で自社の強みを考えるかがポイントになります。

 

③既存顧客へのアプローチ

既存顧客であれば、顧客の要求内容は把握しやすいものです。ここで既存顧客の発注量が減少した場合、その理由は何か?需要減少であれば、対策の立てようがありません。この場合、見きり千両の選択肢もあり得るでしょう。そうでなければ、顧客要求にどこまで応えられるかを検討します。経営者の経営判断が求められる場面でもあります。

 

④新規顧客(同業他社)へのアプローチ

既存顧客の要求内容は、同業他社でも類似する場合がありヒントになります。しかし、これだけでは芸がありません。逆もまた真なり。既存顧客の要求内容を一度否定して考えてみます。アプローチのきっかけがつかめるかもしれません。

 

ファーストステップとして検討してみてはどうでしょうか。