第六回 価格競争に打ち勝つコロナ返し

通常、価格競争は企業の体力を消耗させ共倒れを誘発しかねない悪手とされています。とは言え、「需要減」を通り越した「需要消失」の現状では、価格競争力の強化(生産性の向上)として企業の基礎体力を堅固なものとして生き残りを賭けるしかありません。

 

この生産性向上ですが、付加価値に着目して考えてみたい。本来は、利益額で考えたいところですが、固定費の有効活用の観点から、付加価値の最大化に取り組むことが重要と考えています。ここで計算を単純化するため減価償却費は考えません。「制約条件の理論(TOC)」でもスループット会計として取り扱われています。

 

まず、製造業について考えてみます。

製造業では、作業分析などから作業の無駄を削減することで生産性向上を目指していますが、部分最適に陥り全体最適とならず徒労に終わることも多いのが現状です。コロナ返し事業計画では、別の考え方を取り入れてみたいと考えています。

貿易において「比較優位」の考え方があります。経済学者、リカードの説で、国際貿易においては、国ごとに比較優位にある産業に注力することで貿易規模の拡大が図れるという基本理論です。

経済学者サムエルソンの女性弁護士の事例が有名で

「女性弁護士の弁護士報酬が標準賃金の10倍、タイピストとしても有能で一般タイピストの2倍の仕事をこなす。この女性弁護士はタイピストを雇うだろうか。」

答え:雇う。

「タイプ業務に割く時間を高報酬の弁護士業務を行えば、タイピストに賃金を払っても自分でタイプ業務を行うより高収入が得られる。また、タイピストも収入が得られ、全体としての経済規模が拡大される。」

 

これを製造設備に当てはめると、生産性の高い設備で高付加価値の生産比率を上げると、より利益が増えます。設備の生産性と製品の付加価値のマッチングを図ることで利益の向上が図れるのです。

これは、設備だけでなく熟練作業者にも当てはまります。熟練作業者に高付加価値の製造作業を集中させることで利益の向上が図ることが可能になるのです。

 

2020年06月13日