第四回 大ぼら事業計画、何から始める?
前回の公開から時間が空いてしまいました。
三日坊主ではありません。
リモートワークのトラブルで時間が取られていました。
大ぼら事業計画、何から始めますか?
まず、各計画立案の担当者を決めることが肝要です。
通常はロードマップを作成して、となりますが経営者の頭の中に止め、表には出さないようにします。ロードマップそのものが縛りとなるからです。自由な発想で打開策を見出すことがポイントとなります。
ここで、前回の視点2と視点3は入れ替えて考えます。よくよく考えたら、正攻法は前回の取組みで構わないが、この考え方では大ぼら事業計画になりません。常識の打破が大ぼら事業計画の神髄だからです。
視点2が事業の拡大で経営陣の裁量の範疇とします。
視点3は現状の範囲を逸脱する取組みとなります(常識の打破)。本来は経営者が取組む課題ではありますが、経営者のもつ性(安全志向、つまり経営の存続)が抜けきれず、無意識に安全策に傾いてしまう可能性が高いからです。昔から変革の担い手は、「若者」「よそ者」「バカ者」と言われ、失うものの無い強みが発揮されたとき、初めて変革の糸口が掴めるものです。
大ぼら事業計画で経営者に求められるもの、どんな案が出てきても一度はそれを受け止めることのできる度量でになります。そして活動しやすい環境を整備し、外部からの雑音から守ることも重要な役割となります。
ここで大事なことは、メンバーを決めたら社内に公表することです。定期的に進捗状況も公開し、社内の意見も取り入れることも重要です。
事業計画と銘打つと社員は構えてしまう、従って、コンテストと銘打って、イベントとして実行することも一案です。意見(又は提案)を出せは、インセンティブとして報奨金を出します。このような活動はあまり生真面目に取組むと早晩息が詰まることが予想されます。気楽に実行した方が、社員も参加しやすく、斬新なアイディアも出る可能性が高くなります。もちろん遊び感覚に抵抗感を持つ社員も出るかもしれませんが、状況を見ながら経営者が適宜軌道修正すれば良いでしょう。
「案ずるより産むがやすし」、まずはトライ!!
第三回 大ぼら事業計画、実現できるか?
すぐに実現できそうな計画は、大ぼら事業計画とは言えません。
実現できそうもないのが、大ぼらたる所以です。
なぜ、大ぼらを吹くのか!
元気になるためです。
人間、マイナス思考に陥ると悪循環にから抜け出せなくなるのが常でしょう。
ならば大ぼら吹いて(実現の可否は考えない)、ばかばかしさの中に一縷の望みを託した方が打開策を見出せるかもしれません。
ゴールと現実のギャップを解消するための具体的な取組みが事業計画、通常は実現するための行動計画を立案するか、ゴールを引き下げるかの何れかです。
しかし、ゴールを引き下げては大ぼらが泣く。荒唐無稽であってもそのままにしておく。
とは言え絵にかいた餅を掲げても意味はありません。計画立案のポイントに触れます。
ポイント1:年間計画としない
理由 人間のモチベーションは1年間持続できません。
対策 四半期計画とします。(外部に年間計画の提示が必要であれば4回の四半期計画を提示)
3ヶ月程度であれば人間のモチベーションも持続可能で、四半期ごとに何らかの結論(成否は別)を出せば、次につながり、継続することも可能になります。
ポイント2:四半期毎の目標(テーマ)を独立させる
理由 連動させると、前の計画が失敗することで以降の計画全てが瓦解します。(親亀こければ子亀もこける)
対策 四半期毎の目標の関連性を持たせない。
例えば、コストダウンを目標に設定する場合、製品群又はコストダウン手法の異なる目標を設定します。年間4テーマで活動すれば1テーマが失敗しても3テーマが成功すれば達成率75%になります。各々の成果を水平展開すれば、裾野が広がり効果も大きくなります。
ポイント3:計画立案主体
理由 計画を押し付けられた人間は真剣に取り組みません。(当事者意識がなく責任感もない)
対策 内部資源(リソース)又は外部資源(リソース)を計画立案に参加させる。
第二回で3つの視点での立案を提案しましたが、複数の計画を経営陣(役員を含む)だけの少人数で立案するのは困難です。金太郎飴のような計画が量産されるのが関の山で、効果どころか実効性も伴わない結果となる可能性が高いと思われます。そうならないために全社を巻き込んだ取り組みが重要、そのための視点毎の参加者の指針を示します。
- 視点1
現状の延長線上であるから、現場に近い計画となります。従って、現場をよく知る担当者を主体とするチームを編成します。計画の統括者は現場の部門長を任命し、責任を持たせます。若手も参加させ、当事者意識を醸成させてもよいと思います。
- 視点2
現場から多少距離をおいた計画となるため、現場から離れた担当者の参加を促します。社内であれば現場に直接関与しない間接部門、社外であれば顧客やモニターなどの外部資源の参加も重要となります。計画の統括者は部位門長ではやや荷が重い、役員クラスを任命した方が無難になります。
- 視点3
経営戦略に直結し、最も実現性の乏しい計画となります。ここは、経営者が陣頭指揮を執ることが重要で、経営者の手腕が問われところでもあります。
2020年05月06日
第二回 大ぼら事業計画、どんな計画?
大ぼら事業計画とは、出来るか出来ないか分からぬ大ぼらを吹いて、実現を目指す計画に過ぎません。
まず、経営者として大ぼらを吹くことから始めます。
企業経営者として、つい常識な線引きをしてしまいそうですが、もっと夢を大きく掲げてみます。
とは言え、経営者として自分の理想とする状況(大ぼら)を設定するにしても、常識的な線引きとしては
- 経営資源(ひと、もの、かね)+α(技術、情報etc)
- 求める成果:成果物(もの、サービスetc)、財務指標(売上、利益etc)、規模
あたりに落ち着きそうですが、あまり大上段に構えず気楽に考えます。
大ぼらを実現するため、複眼思考で複数の計画を考えます。
1.複眼1
現状の延長線上での計画、リスク少、同じ土俵で勝負
- プラン1A:既存顧客からの受注拡大⇒最も現実的、面白みに欠ける、効果少
- プラン1B:新規顧客開拓による受注拡大⇒ちょっと背伸びした計画、経営者の腕の見せ所
- プラン1C:新市場開拓(市場セグメントの転換)による受注拡大⇒賭けの要素大
2.複眼2
同一事業領域での拡大、リスク中、強みを活かせる土俵で勝負
3.複眼3
他の事業領域への拡大、リスク大、門外漢の土俵で一発勝負
具体的な計画策定の要諦は、次回から考えていきます。
2020年05月04日
大ぼら事業計画(大ぼら吹いてコロナを吹き飛ばせ)
はじめまして、河地と申します。
青葉中小企業診断士事務所の代表として企業経営者の支援活動を行っています。
緊急事態宣言下、様々な制約条件下での企業経営、「何をどうしていいのかわからない」状況に、経営者の深刻な悩みはつきません。
私もリモートによる活動で戸惑うことも多々あります。
手を拱くだけでは何の解決にもなりません。
そこで、経営者に少しでも元気の出るような情報として「大ぼら事業計画」を開設しました。
第一回 「大ぼら吹いてコロナを吹き飛ばそう」
緊急事態宣言が発令され、経済的な苦境が増す昨今、企業経営者は苦悩の色を深めています。
今は苦しい(不安)、先が見えない(希望が持てない)、どうしていいか分からない。
どうすれば希望が持てるか、先を見通して新たな手を打つ。しかし、その前に資金繰り対策が緊急の課題となっている。右往左往して時間の浪費は避けたいところです。
巷では、コロナ後には今までと異なる世界に転換されると囁かれています。
具体的にどう変わるのか。
考えたところで誰も予想がつきません。
ならば、企業経営者として思いっきり大ぼらを吹いて事業計画を考えよう。道は開けるかもしれません。
直近の緊急課題である資金繰り対策、公的機関の助成金(補助金)又は金融機関からの融資にしても事業計画がなければ対象にはなりません。資金繰り用の事業計画を立案しても手間暇かかり、時間の浪費となりかねません。
ここは、急がば回れ、大ぼら(ゴール)から俯瞰した複数の計画を立案して、最も役所や金融機関に受けそうな計画を提示して交渉するのも一案でしょう。
具体的にどのような複数の事業計画を考えるのか、次回から考えていきます。
2020年05月03日